ホーム > 冥報記全釋

冥報記全釋

冥報記全釋

『日本霊異記』・『今昔物語集』に大きな影響を与えた『冥報記』の現代語訳なる

著者 伊野 弘子
ジャンル 中国古典(文学)
出版年月日 2012/05/15
ISBN 9784762995545
判型・ページ数 A5・338ページ
定価 8,800円(本体8,000円+税)
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

凡 例・解 説  
冥報記 吏部尚書唐臨
序 文
〈上巻〉
第一話 信行伝       
第二話 慧如伝     
第三話 僧徹伝    
第四話 河東練行尼伝
第五話 蒲州仁寿寺道懸伝  
第六話 河東道英伝   
第七話 智菀伝    
第八話 鄴下人伝
第九話 冀州人伝      
第十話 寶誌伝     
第十一話 揚州嚴恭伝
〈中巻〉
第一話 崔彦武伝  
第二話 太山廟之神与或僧伝   
第三話 蕭璟伝    
第四話 韋仲珪伝
第五話 孫寶伝       
第六話 張高伝    
第七話 盧文厲伝   
第八話 眭人蒨伝
第九話 孫廻璞伝     
第十話 公載胄伝    
第十一話 李大安伝  
第十二話 蘇長伝
第十三話 董雄伝      
第十四話 嘉陵江伝   
第十五話 岑文本伝  
第十六話 元大寶伝
第十七話 酇師辨伝     
第十八話 太夫人伝   
第十九話 李山龍伝 
〈下巻〉
第一話 代州王伝     
第二話 後魏崔浩伝   
第三話 梁元帝伝   
第四話 周武帝伝
第五話 北齊梁伝      
第六話 李寛伝     
第七話 姜略伝    
第八話 冀州小児伝
第九話 京兆獄卒伝     
第十話 河南人婦伝   
第十一話 揚州卞士瑜伝
第十二話 京兆皈安仁伝   
第十三話 長安趙土次伝 
第十四話 京兆潘果伝
第十五話 洛陽王伝     
第十六話 江南康抱伝  
第十七話 臨邛韋伝
第十八話 魏郡馬嘉運伝   
第十九話 遂州孔恪伝  
第二十話 洛州寶軌伝
第二十一話 曹陵宋行質伝  
第二十二話 京兆韋慶植伝
第二十三話 華州張法義伝  
第二十四話 河東柳智感伝

冥報記涵芬樓秘笈本跋  無錫孫毓
付・知恩院本冥報記翻刻  
索 引

このページのトップへ

内容説明

【本書より】

本書は、涵芬樓秘笈第六集四種八冊一函所収本を底本とし、高山寺本・知恩院本・長治二年写本尊經閣本をもって校訂を加えた『冥報記』の全釋(現代語訳)である。昭和女子大学近代文化研究所発行の『学菀』平成六年三月号(六五一号)に「冥報記全釋(一)」を発表して以来、平成十一年三月号まで、全十八号と跋文までを一冊にまとめたものである。刊行にあたり、巻末に翻刻知恩院本『冥報記』及び索引を付した。

涵芬樓秘笈本は、特に序文としての部立てがあるわけではないが、一頁の四行めから五頁の三行めまでは、説話本文ではなく、明確な編集意図を高らかに謳い上げたものであるので、序文として位置づけた。それは実に広大な宇宙観から起筆され、歴史上の善悪の実例、卑近な社会現象、友人、知人までを例証として因果応報の理を説いているものである。その方法は、あくまでも撰者である唐臨の伝聞によるものであると柔軟に結んでいて、内容に記された奇事や異変を高圧的な態度で伝えてはいない。これは吏部尚書という身分によるものであろう。法華経・般若心経・道教思想等が見え隠れする説話集である。……東方万八千を照らし出し、仏法を照明し衆生を開悟せしめると説く法華経序品を根底に得た「光現象」を上巻第一話「信行伝」に組み入れ、その中で「摩頂授記」を受けられる。その高僧信行も迫害され、高弟は太白山に隠遁する。太白山は元来道教の山であり、修験道の山である。化仏の来迎によって成仏の確約を得ながら太白山に隠遁しなければならない政治情勢も考えさせられる資料としても興味深い説話集である。

このページのトップへ